インドア派Around40ゲイの日記

アラフォーゲイが日々のことや過去のことを書きなぐるブログ

「MILK」と「境界線の向こう側」を見た

お正月休みということで、ゲイがテーマでもある映画を見たので簡単な感想を。

 

MILK

ミルク [DVD]

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『ミルク』(原題: Milk)は、2008年のアメリカ映画。自らゲイであることを公表した活動家ハーヴィー・ミルクの生涯を描いた伝記映画。

第81回アカデミー賞では作品賞を含む8部門にノミネートされ、主演男優賞と脚本賞を受賞。

↑はWikiの説明ですが、いろいろ賞も取っていますので比較的有名な映画かもしれません。前から見てみたいとは思っていたのですが、ようやく今回見ることができました。監督がガス・ヴァン・サントさんという方なのですが、彼自身もゲイということをカミングアウトしているそうです。映画のことは全く詳しくないのですが、Wikiを見ましたら有名な「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」の監督さんでもあるようです。そして、以前記事にもした(マイ・プライベート・アイダホを10数年以上ぶりに見た )「マイ・プライベート・アイダホ」もこの方が監督だったことを初めて知りました。

1970年代のアメリカで同性愛者の権利獲得のためにハーヴィー・ミルクさんの伝記的映画です。ミルクさんがとても魅力的な人に描かれていたと思います。主演の ショーン・ペンさんの演技力によるところも大きいのかもしれませんが、映画のラストでご本人の映像が出てくるのですが、すごく似てらっしゃるように見えました。

1970年代ってそこまで昔のことではないと思うんです。今の40代の方だったら生まれた年代ですよね。その当時のアメリカでは同性愛者には権利は認められていませんでした。キリスト教の影響が強いと思いますので、単純に日本と比べることはできませんが、日本では少なくともこの当時であっても、真っ向から、同性愛者の権利を認める派と認めない派が正面衝突して、選挙で争うということにはなっていなかったでしょう。無関心な人が多いだけかもしれないですけどね。そんな時代にミルクはゲイのため(さらにはそれを含めたマイノリティのため)に戦います。

3回目の市政選挙でついに当選。当選後は「条例6」の廃案に尽力します。この「条例6」というのが今では到底信じられない条例で、同性愛者である教師を性的指向を理由に自由に解雇できるというものです。この話だけ見ますと、すごく昔の話なの?っていう印象を持つかもしれませんが、キング牧師の公民権運動よりもさらに10年ほど後、先ほどから書いているとおり、1970年代のことです。ミルクはパートナーの自殺などを乗り越え、この条例6の撤廃を成し遂げます。ミルクは「命をかけた戦い」と言っていました。それを示すかのように、最後は銃殺され生涯を閉じることになります(映画の冒頭でそのことは示されます)。ミルクの同志である市長も同様に殺されてしまいます。二人をたたえ、3万人以上が映画の舞台であるカストロ通り~市庁舎を行進したそうです。

ミルクの活躍は直接的ではないにしろ日本の同性愛者の活動や生き方にも影響を与えているのでしょうね。彼がいなければ今のゲイパレードもなかったかもしれません。日本でもここ数年盛り上がってきていますもんね。

うまくまとめられず部分的なことしか触れていませんので、イメージがわきにくいかもしれませんが、こんな戦いがあって今があるんだということを知る意味でも、強くお勧めできる作品だと思います。去年、生産性云々で話題になった方や、つい数日前に問題発言をされた方も見ていただくといいかもしれないですね。

 

ちょっと思ったことは、ゲイの当事者と真っ向から反対する保守派という対立軸があって、その間で揺れている人々(中間層というか)はどうだったのかなぁということです。「何となく同性愛には反対」みたいな考え方が多かったのではないかなぁと推し量ります。「発言しなきゃダメ、(ゲイは)ここにいるぞって。」みたいなミルクのセリフがありました。『「知らないから、よくわからないから、反対」ではなく、知ることが大事』というようなことを最近聞くことが増えてきましたが、確かにその通りですけど、そのことと自分が声をあげられるかって別の問題ですよね。果たして僕は声をあげることができるかな…?ってちょっと考えてしまいました。自分から知ろうとしてくれる人はいいですけど、そんな人ばかりじゃないですし。

 

話は全くそれますけど、何でも声高らかに主張すればよいわけではない、ということも意識したいなぁと思っています。職場でも「言ったもの勝ち」みたいなことを感じることがあります。強く主張する人の言う方向に話が流れたりとかありませんか?場合によっては、そういう人がスパッと決めることで物事がうまく動いてくれることも多々あると思いますが、そんなに早急に決めることでもないようなことまでも、その人の主張の強さがために話がその方向に流れたりとか。そこで「否」を言えないのが悪いんだろうと言われればそうなんですけど。勤務評価なんかも言ったもの勝ちなところが多少はある気がします。「言わなきゃ伝わらない」という部分を大事にしつつ、言外の部分やその人の特性なんかにも目が向く人になりたいなぁなんてことまで考えてしまいました。うまく説明や説得をすることもその人の能力の一つだとは思いますけど、口下手だから評価が下がるってよくないですよね。

「言わなきゃ伝わらない」、恋愛面でもあると思います。たまにはちゃんと言葉で伝えることって大事じゃないかな~と思ったりしてね。

 

最後に、素敵なセリフを。

「もし一発の銃弾が私の脳に達するようなことがあれば、その銃弾はすべてのクローゼットの扉を破壊するだろう」

彼が殺されたことにより、多くの人々のカミングアウトにつながり、ますます運動は大きくなっていったそうです。自分の死を予見していたのかもしれないですね。

 

 境界線の向こう側

 

こちらは日本の映画です。1998年とのことで、20年くらい前ですね。ちょうどネットが広まってきた頃に、ゲイカップルの一人がビアンの方と偽装結婚をしよう…というところが話の(一応の)主軸です。

僕も大学生くらいの頃に偽装結婚について調べたことがあるんですけどね。絶対無理だろうなって思いました。以前記事にしたことがある「きらきらひかる」っていう小説を読んだことも影響しています(この記事)。結婚って、当たり前ですけど当人たちだけの問題ではないですよね。結婚するまでではなく、その後もなが~い生活があるわけで、自分がそんな生活をしている姿が全く想像できなかったです。実際に偽装結婚された方っていう話は聞いたことがありますが、その後の話ってなかなか聞いたことがないので、どんな生活を送られているのか気になるところです。「偽装」の内容が、ゲイとビアンの結婚なのか、ゲイだということをひた隠しにしてお子さんまでいるのか…によっても全く違うでしょうけどね。

「それでも結婚をしなきゃならない」っていう方の事情もそれぞれで、特に一昔前は更にそんな風潮も強かったとは思うし、このブログにたまに出てくる某彼もまさにそんな状態ですし…。何にせよ、不幸になる人を出さないでほしいものですね。

…と実はこの映画、そこまで偽装結婚の話を真剣に取り上げているわけではなく、途中からはゲイカップル+ビアンの一人のロードムービー的な流れとなります。そして、最初から最後まで「これってアダルトビデオだっけ?」って思うくらいセックスシーンが出てきます(男同士のです、念のため)。精液を顔や体にかけたりといった描写も出てきました。下着の上から触るのは本当に触れていたと思うのですが、どこまで本当にやっているんだろう…などと、ついつい下衆の勘繰りをしてしまいました(モザイクがかけられている場面もあり、かなりきわどいシーンもあったもので)。おじいさん(というにはやや若いか)とのセックスシーンもあって「この後この人が死ぬっていう展開じゃないよね?」って本気で思ってしまいました。

見終わった後、セックスシーンが多かったという印象ばかりが残ったので、もう少し主要登場人物がどういった人でどういうことに悩んでいるのか…を掘り下げてくれればよかったかも…と思いました。

セックスシーンに抵抗がない方はご覧になってみてください。

 

ということで2作品の紹介でした。特に「MILK」の方はお勧めです。お時間ありましたらぜひご覧ください。