インドア派Around40ゲイの日記

アラフォーゲイが日々のことや過去のことを書きなぐるブログ

本の紹介-8 辻村深月「かがみの孤城」~ちょっと心が痛くなる…伏線回収がすばらしい

ずいぶん前に↓の記事を書きました。
tomo-aro40.hatenablog.jp

文庫化されるのを待っていたのですが、なかなかされないようだったので、Kindleにて購入しました。 

かがみの孤城

かがみの孤城

 

 学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。 輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。 そこにはちょうど“こころ”と似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。 すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。

辻村深月さん、僕の好きな作家さんなのですが、本当に心理描写がうまくて(とくに思春期の子や女性の心理描写)、それがゆえに読んでいて中学時代のことなんかを思い出してツラくなってくることがあるのも事実です。そのせいか、最初の方はゆっくりゆっくり読んでいました。

単純にいじめだけをテーマにした重い小説でもなく、かといってファンタジー一色でもなく、この歳になって読むと、ちょっとだけ大人の目線から読むこともできたかなぁと思いました。

見事に伏線を回収していました。7人のことについては読んでいて予想がついてしまいましたが、最後の最後、「オオカミ様」のところと「アキ」のところは予想の上をいっていました(まぁ普段から推理小説を読んでも結果を当てられる人ではないんですけどね)。…って読んでない方には何のことだかさっぱりかと思いますが、あまりネタバレをするのもよくないかと思い、この程度にとどめておきます。

中学生の頃って小学生の頃よりかは世界が広がったかもしれないけれど、それでも狭い世界で生きているということは確かなことで、そんな狭い世界の中で追いつめられるということがどんなに辛いことなのか…。「もう闘わなくてもいいよ」と言ってくれる人がいてくれたら救われる子もきっとたくさんいるんだろうな。

news.yahoo.co.jp

インタビューで「不登校する勇気はなかった」と辻村さんはおっしゃっています。僕も何となく中学生のころは、「不登校=悪いこと」と思っていました。「学校へ行かなきゃ…」という強迫観念めいたものもあり。不登校するという選択ができるのは強いこと、当時そう考えられれば違う人生だったかもしれないですね。親世代にそういう考えを持ってもらえればなって今は思います。

この小説を読んでいて、主人公「こころ」の担任が一番頓珍漢なことを言っている印象を持ちますが、こういうことを言う先生ってたくさんいそうだなぁとも思いました。「あの子は、あの子にとって正しい話しか、きっとしない」そんな一文がありました。それをそのまま鵜呑みにししまう大人は大人って言えないかもしれないですね。僕は絶対教師向きの人間ではありません、きっと客観視できずに自分の感情が向くままにえこひいきしまくると思います。

 

…読後感はすごくよく、ちょっと涙目になってしまいました。伏線確認のためにも再読したいと思った1冊です。現在進行形で悩んでいる中学生にも、はるか昔に中学生だった方にも、お勧めできる作品かと思います。