NHKで今年の1月から放送されていた「恋せぬふたり」全8話を見ました。公式サイトはこちら↓。
―――恋愛しないと幸せじゃないの？ 人を好きになったことが無い、なぜキスをするのか分からない、恋愛もセックスも分からずとまどってきた女性に訪れた、恋愛もセックスもしたくない男性との出会い。 恋人でも…夫婦でも…家族でもない？ アロマンティック・アセクシュアルの2人が始めた同居生活は、両親、上司、元カレ、ご近所さんたちに波紋を広げていく…。 恋もセックスもしない2人の関係の行方は！？ ※アロマンティックとは、恋愛的指向の一つで他者に恋愛感情を抱かないこと。アセクシュアルとは、性的指向の一つで他者に性的に惹かれないこと。どちらの面でも他者に惹かれない人を、アロマンティック・アセクシュアルと呼ぶ。
最近はゲイが主人公の話というかBL的要素を含むというか…のドラマが増えてきましたが、「アロマンティック/アセクシャル」を題材としたドラマって、かなり珍しいのではないかな…と思います。僕も「アロマンティック」や「アセクシャル」って、↑のあらすじにあるような表面的なことしか知りませんでしたが、さらに知るきっかけになったと同時に自分の指向についても改めて考えるきっかけになったドラマでした。
兒玉咲子（こだまさくこ／演：岸井ゆきの）が恋愛できないことに悩み、ネットで検索して「アロマンティック・アセクシャル」の当事者の一人である、高橋羽（たかはしさとる／演：高橋一生）が運営するブログに行きつくところから話が展開していきます。そして、途中は省略しますが二人は、恋愛感情抜きの家族「家族（仮）」として一緒に暮らしていくことになります。
恋愛しない＝愛情を持たないという意味ではないので、その部分で他者に理解してもらうのに難しい部分がある（恋愛できない、しない、ということを説明してもわかってもらえない）のかなぁと感じました。咲子が勤務先の上司から恋愛を勧められるシーンがあったのですが（人間的に幅ができて仕事にも役立つというような理由で）、ドラマだからというのはありますけど、今でもこのような言動に少なからず悩まされる人もいるのでしょうね。暗に「恋愛できない＝人間としての幅がない」と言っているようなものですし。
翻って、自分のことを考えてみると、多少の共通点というか共感できる点を見出すことができるなと。もちろん、過去に恋愛経験はあり、それは男性で、…というと性的指向ははっきりとしているのでは？とも考えられるのですが、決して恋愛至上主義ではないなぁ、と。今、誰かと付き合っているわけでもないのですが、積極的にその誰かを見つけたいと思う気持ちは全くわいてこないんですよね。単に年とっただけかもしれんせんが。ただこれまでのことを振り返ってみても、「恋愛したい、付き合いたい、恋人見つけたい！」という気持ちが、もちろん0ではないにしても、そこまで強くないんですね、きっと。このことは「誰かといたい、暮らしたい！」さらには「一緒に未来を歩んでいきたい！」といった気持ちがそこまで強くないことにつながっていくのだろうなと。そんなことも影響してか、付き合っている人がいたころも、気付けばあんまり連絡とっていなかったということもありました。僕が一人でいることが好きな方だからかもしれませんが。
だから、たとえ恋愛関係なしでも、咲子と羽のように誰かと「家族（仮）」として一緒に住むのは僕にはできないかもしれないけれど、「隣に住む家族（仮）」くらいならいいかなぁなどと考えた次第でした。今、僕が倒れて死んでいたら、周囲にはなかなか気づかれないでしょうしね…。
そういえば、「きのう何食べた？」の劇場版で、没交渉となっていたケンジのお父さんが孤独死を迎えるという場面がありました。僕は時間としてはごくわずかなこの場面を見た時に、将来の自分のことかなぁと考えてしまいました。それならばいっそ…と文字に起こすことをためらわれることを頭をよぎったりもしましたが、このドラマを見ていたらなぜかこの映画のことをふと思い出していました。。
ドラマの最後、「この私の人生に、何か言っていいのは私だけ。私のしあわせを決めるのは私だけ。」といった咲子の台詞がありました。最終的には「しあわせとは」ということがテーマの一つだったと思います。今の自分が「幸せだ」と思えますか？と問われたら答えはわかりませんが、行き当たりばったりでもいいから都度自分が納得できる道を進んでいけたらなぁと考えさせられたドラマでした。
↓のサイトで、このドラマの、僕は気付くことのできなかった問題点も含めて詳しく解説してありましたので、興味がある方は是非ご覧ください。
Last love song (2001) ／ GARNET CROW
