今回は、村山由佳さんの「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズがようやく完結したということで記事にしてみたいと思います。
その前に、僕が村山由佳さんを知ったきっかけは「BAD KIDS」という小説で、大学生の頃の話なのでかれこれ20年ほど前のことです。主人公の一人が同性に惹かれることがテーマの一つとなっていて、当時感情移入しながら読んだ覚えがあります。細部は忘れてしまっているので、もう一度読んでみようかな…。ちなみに、続編?の「海を抱く BAD KIDS」というのもあります…がこちらももちろん読んだものの、内容は忘れてしまっています…人は忘れる生き物ですね。。
高校写真部の部長の都は、20歳もの年上のカメラマンとの関係に苦悩している。彼女が被写体に選んだのはラグビー部の隆之だった。しかし彼が気持ちを動かされているのは、同性のチームメイトだった。傷つき、愛に悩み、性に戸惑いながらもひたむきに生きる18歳の、等身大の青春像を描く。みずみずしいタッチの長編恋愛小説。
ちなみにこの本については、以前ぱのこめさんが記事にされていますので、興味を持たれた方はぜひご覧ください↓。
で、この小説から村山由佳さんの描く作品に興味を持ち過去作を読んでいったのですが、その中の一つがタイトルに挙げた「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズです。↓はWikipediaより。
『おいしいコーヒーのいれ方』(おいしいコーヒーのいれかた)は、村山由佳によるライトノベルシリーズ。主人公の「勝利」といとこの「かれん」、その弟「丈」の同居生活における日常が描かれる。
「おいしいコーヒーのいれ方」が計10巻、その後「おいしいコーヒーのいれ方 Second Season」となり、先ごろ最終巻である9巻が発売されました。第8巻が出た後、「そういえば続きが出ていないなぁ」と毎年夏ころ思っていたのですが、たまたま先日本屋さんで見つけて「お~!」と感激して手に取りました。正直なところ、間が空いていたため8巻をもしかしたら読んでいないのでは?と思い、Kindle版でざっと読み返してから読み始めました。それまでほぼ毎年刊行されていたのが、今回7年間の空白期間を経ての最終巻です。
一言でいえば、勝利とかれんの爽やか恋愛小説というところです。恋愛小説をことさらに好んで読むタイプではないのですが、登場人物がみな魅力的で読み始めたころは年齢が比較的近かったことや、 「BAD KIDS」と同様心理描写がうまいなぁということ、単純に続きが気になることもあって、ずっと読み続けてきました。
読み始めたのが大学生の頃のため最初からリアルタイムで追っているわけではないのですが、第1巻が刊行されたのが1994年ということで、完結までに実に四半世紀以上の歳月がたっているようです。主人公の勝利は当初は高校生でした。僕は第1巻の刊行当時は年下でしたが(まだこの本とも出会ってはいませんでしたが)、小説内でも時間経過はあるものの、最終的には僕のほうがかなり年上になってしまいました…。長期連載物ならよくある話ですね、、。
紆余曲折はあったものの、最後まで純愛を貫いたラストだったのではないかなと思います。Second Season の後半は話がかなり重くなります。悪意なく償いきれない過ちを犯してしまったら…というところがテーマの一つで、支えてくれる人がいるって素敵なことだなと素直に思えました。
僕は結構なんにでも感情移入をするタイプですが、この小説の主人公勝利は「運動部所属爽やか青年 ザノンケくん」という僕とはかけ離れたタイプなので、そこまで感情移入することはなく、友達の恋愛を見守っている的な感じで読んでいました。女性の方が書いている作品ですけど、この年代の男子ならこういう言い方するなぁ(=僕はそんな言い方できない)と思ったりして、妙に感心していました。
完結までに19冊もあるため、「紹介」といいつつ全く紹介になっていない記事ですが、気負わずに読むことができますし、ピュアな恋愛感情を思い出したいときに手に取っていただけるとよいかもしれないです。一人の人をずっと思い続けられるってなかなかできないですよね。
中高生のころのような、純粋な甘酸っぱいような恋愛を思い出せるかもしれません。
1巻がこちら↓。
高校3年になる春、父の転勤のため、いとこ姉弟と同居するはめになった勝利。そんな彼を驚かせたのは、久しぶりに会う5歳年上のかれんの美しい変貌ぶりだった。しかも彼女は、彼の高校の新任美術教師。同じ屋根の下で暮らすうち、勝利はかれんの秘密を知り、その哀しい想いに気づいてしまう。守ってあげたい! いつしか一人の女性としてかれんを意識しはじめる勝利。ピュアで真摯な恋の行方は…。