先日、話題になっている映画「エゴイスト」を見てきました。
浩輔役の鈴木亮平さんは、昨年10月期のドラマ「エルピス-希望、あるいは災い-」で目にしていましたので久々に見たわけではなく、また、変わった役柄をされることが多い方ですが、やはり今回の映画で受ける印象はかなり違いました。龍太役の宮沢氷魚さんが出演されている作品を見るのは映画「his」以来だと思います。そして、龍太の母役の阿川佐和子さんですが、エンディングクレジットを見るまで、ずっと吉行和子さんだと思って見ていました。言われてみれば確かに阿川佐和子さんなんですけど、「吉行和子さん、ずいぶん若いなぁ、もう80代じゃなかったっけ?」って思いつつ、クレジットを見て一人で驚いていました…。
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以下ネタバレもありますので、これからご覧になる方はご注意ください。まとめるのが面倒なので、箇条書きで書き連ねていきます。
・前半はベッドシーンも多いので、そこを嫌という人もいるかもしれませんが、僕はそれがあることにより、急速に仲を深めていったことを描いているのではと感じました。まるでないのも嘘っぽいですし。
・金銭面がこの映画の中で結構重要な要素の一つなのだと思いますが、龍太にウリ専を辞めさせるためにお金を渡すようになるところとか、龍太が亡くなった後にもお母さんに対して援助をするところとかが、ちょっと唐突な印象を受けました。自伝を元にされているということなので、援助をする側も受ける側もきっと背後には様々な葛藤や逡巡があったとは思うのですが。
・浩輔って編集者って言っていた気がしますが、編集者ってそんなに給料いいのかなって思ってしまいました。「あの家、家賃いくら?あれ、編集者じゃなくって服飾デザイナーだっけ?」と途中で頭をよぎりましたが、裕福ではない龍太の暮らしとの対比のためなのかなぁと。
・龍太の家の台所やお風呂、僕の子供の頃の同級生で団地暮らしの方とか、まさにあんな感じだったなぁと記憶がよみがえりました。
・原作では幼少期に浩輔が「おかま」とか言われていじめられていた描写があるそうなのですが、映画内では冒頭のお母さんが亡くなった場面でそう思わせるところが少しある程度です。僕は、この映画の場合はその部分はカットされていて特に違和感を感じることはなかったです。
・龍太が亡くなったことを聞かされるシーンでは、驚きはしましたが涙もろい僕でも泣くことはなかったです。それよりも、ラストの龍太のお母さんを浩輔が見舞いに行っているシーン、龍太の母が浩輔のことを「自慢の息子なんです」「まだ帰らないで」ってところの方がグってきました。
・浩輔のお父さんの描写がわずかだったなという感がありましたが、「いい人がいないのか?」ってことを聞くシーンなどに、ちょっと距離を置いていたことを表していたのかなとも思えました。まぁ、2時間の映画の中にあれこれ詰め込めないというのもあったと思いますが。
・そして自分のことを思い返すと、↑みたいなことは言われたことがないのはある意味幸せなのかもしれないですね。ただ、幼少期から「男の子なんだから」とはしょっちゅう言われた記憶があるので、いつからか親にもそんな期待はなくなったのかもしれません。
・セクシャリティにかかわらず、僕は一定人数以上の集まりが苦手なんだろうなぁと今さらながら感じました。
・血縁だけが家族じゃないんだなということを考えさせられる作品でした。
LGBTQがテーマの社会派映画、というわけではないですが、親子とは、家族とは…みたいなことを考える映画になりえるのではないかと思います。
ちなみに、結構見に来ている年齢層は幅広かったように思います。女性の方が多いかなと予想していましたが、僕が見た回は半々くらいだった印象です。
また、今回、アップリンク京都という京都の中心にある映画館へ行ってきたのですが、劇場内のデザインなんかがいわゆる普通の映画館とは違っていて(何が違うというのがうまく表現できないのですが)、劇場というよりミニシアターという感じがあって目を惹きました。同じ建物内にはいろんなお店もあるようなので、いつか機会があったらまた見てみたいなぁと思います。