インドア派Around40ゲイの日記

アラフォーゲイが日々のことや過去のことを書きなぐるブログ

映画「his」見てきた~すごくいいラストでした

↓昨日、映画「his」を見てきました。少しネタバレしているかもしれませんので、ご注意ください。

僕の見た映画館では1日に1回しか上映がないようで結構混んでいました。女性の方が多かった印象ですが、男性の方もいましたし、ご年配のご夫婦?の姿もありました。

www.phantom-film.com

 

僕は知らなかったのですが、↓のドラマの後日譚だそうです。

www.nagoyatv.com

 

公式ページより

本作では、8年ぶりに突然娘を連れて現れた渚を迅がどう受け入れるのかという恋愛ストーリーに加え、LGBTQの人々と古くから根付いている共同体の共存への希望、親権を争う法廷劇、変化しつつある家族の形、そしてシングルマザーが直面する過酷な現状なども描かれる。一方で本作には、LGBTQ作品につきものの、偏見と無知にまみれた悪役が登場しない。LGBTQ(マイノリティ)VS社会(マジョリティ)ではなく、すべての人が社会の一員としてフラットに描かれる。マイノリティだからと何かを諦めて生きてきた迅と渚が、そして彼らに関わった人たちが、それぞれに境界線を越えていく人間ドラマである。

井川迅(しゅん)は周囲にゲイだと知られることを恐れて岐阜の田舎で本当に「ひっそりと」暮らしていて、そこに大学時代につきあっていた日比野渚(なぎさ)が6歳の一人娘・空(そら)を連れてくることから物語は始まります。

「ゲイだと知られることを恐れて田舎にこもる」というところがこれまでにあまりない設定だと思いました。逆に都会に出てくることの方が多いイメージがあります。ドラマ上の設定なのか実際そうなのかはわかりませんが、舞台となった岐阜県白川町はよそ者に対して昔から優しいところだというようなセリフがあったと思います。

物語は空のことを中心に流れていると言っていいと思います。夫婦の離婚と親権をめぐり、調停と裁判の様子が描かれます。僕は以前ちょっとだけですが、離婚だとか親権争いをしている当事者の方たちと接する仕事に関わっていたことがあるので、余計リアルにその様子が見えてきました。

この映画でもそうでしたが、離婚は比較的話がまとまりやすいと思いますが、親権をめぐる争いって、自分の子どもをめぐる争いになるために必然的に大きな感情の渦の衝突になります。僕は以前その仕事をしていたとき、お互いに自分の子どものためを思って(のはず)なのに、いつしかお互い意地になって、何が目的なのかわからなくなってしまう当事者の方も多いような気がしていました。

離婚などをめぐる問題は、裁判の前に「調停前置主義」といって、基本的に調停(非公開で調停委員さんたちを介した話し合い)をすることになっています。特に子供がいる場合は、離婚して二人の関係が終わるわけではなくその後も最低限のやり取りをする必要はあるでしょうし、お互いが話し合いで譲れるところは譲って結論を出せるのであればそれがいいという考え方が根本にある、というようなことを聞いたことがあります。裁判になると基本的にほかの裁判と同様に公開となります。見ず知らずの人に離婚の裁判を見られる可能性があるわけですね。

この、調停や裁判といったくだりがよく描かれていたと思います。特に裁判のシーン、「弁護士ってとても性格が悪い人がなるんじゃないの?」って印象を持ちましたが、裁判となってしまうと勝つ必要があり、自分が親権者にふさわしい=相手方は親権者としてふさわしくない、ということを主張する必要があるわけで、そうすると離婚や親権という争点の内容上、相手の人格を批判しているとも受け取れるような言い合いの応酬になることもあるんですよね。僕は裁判のシーンは何となく泣けてきました。渚が最後に取った決断がわかる気がしました。

日本では同性カップルが子供を育てるって現実的ではない部分もまだまだあるかと思いますが、そこに一石を投じる作品でもあると思います。最後のシーンが本当に素敵でした。「わたしには、ママが一人とパパが二人いるんだ」って言えたらいいかもね…てなことがふっと頭をよぎりました。

そのほかにも、空を連れていった当初「お前バイだったのかよ」ってセリフがあったのですが、本当に性自認や性的指向っていろいろだし変わりうることなんだよね、と今さらながら思ったり、以前、付き合っていた人に「子供もほしいなぁ」って何気なく言われて、「僕にはどうすることもできないけどね」って思ったことをふっと思い出したりだとか、僕がいわゆるLGBTQの当事者であることもあると思いますが、映画を見ながら結構いろいろな感情が湧いてきました。

 

涙もろい僕は例によって涙目になっていましたが、すごく観てよかったなと思える映画でした。気になった方は是非ご覧ください。